夏目漱石について その61

 汽車で土産だった栗を一人で食べてしまった三四郎は、前回の記事で書いた様に東京に向かう際に一緒に水桃蜜を食べた「広田先生」と対面します。青木堂で勝手に「広田先生」と思っていた人とも一致しています。与次郎が紹介する前に広田先生は三四郎に「知っている」と言い、二人の事を奇妙に思いながらも与次郎は深く聞いてきませんでした。すぐに話題や貸家の話になり、三四郎はきれいで大きな石の門がある所を教えます、与次郎は良い物件だと言いますが、広田先生はうんとは言いません。理由を聞いても断る広田先生は「なぜでもいかん」と言いいます。
 与次郎が真面目に勧めて、遂に物件を見に行く事になり、三四郎が案内をします。すると、御影の柱が二本立っている、鉄の扉の家に辿り着きます、ちゃんと貸家である札も下がっています。扉には錠がかかっていて、それを開けようと与次郎が二人から離れ、会話が始まったのです。まるで、最初に会った時に続きの様に、広田先生は東京の事を三四郎に聞きました。
「東京はどうです」

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