宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」について4

 6年間の仕事の合間に、ずっと読んでいた本の著者であるクーボー博士、彼に会うためにイーハトーブにやってきたブドリ。そして、ようやく見つけた学校で、たまたま受けた授業で先生をしていたのがクーボー博士だったのです。授業が終わり、生徒達の提出したノートを採点していき、最後にブドリの手帳を目にしたのです。それをみて、クーボー博士は頷くと、図に関しては非常に正しい、と褒めてくれたのです。更に、ブドリが自分の出した質問に的確に答えると、笑いながらブドリが何の仕事をしているのか聞いてきました。その仕事を探す為に来たことを伝えると、クーボー博士はおもしろい仕事がある、と名刺をとりだし、そこに何かを書き込んでブドリにくれたのです。
 ブドリは頭を下げて、すぐにクーボー博士が紹介してくれた名刺の宛名を訪ねました、そこは大きな茶色の建物で、うしろには房の様な形をした高い柱が夜の空にくっきり白くたっていました。玄関で呼び鈴を押すと、すぐ人が出てきて、名刺を受け取ると突き当りの大きな室へ案内してくれました。そこには少し髪の白くなった人の良さそうな、けれど立派な人がいましたが、ちょうど電話をしながら何かを書いている所でした。

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