Monthly Archives: 8月 2013

武田泰淳 『風媒花』 二十三

一 橋のほとり 二十三 「『桂さんは、中国へ帰りたくありませんか』と、軍地がたずねる。……。桂が笑わせようと思った通り、日本人たちは笑った。しかし、軍地と原は笑わなかった。」 ここで、軍地と原が、他の日本人たち、つまり、 … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 二十二

一 橋のほとり 二十二 「『桂さんはQさんの脱出に、どの程度に手をお貸しになったんてすか』と、原が質問している。原は桂を信用していない。新政府から派遣されない、台湾政府と関係のある記者を、原は本物の中国人と考えられない。 … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 二十一

一 橋のほとり 二十一 「『当時の重慶の状態がわからんと、わたしの苦労はわからんです』/『Qさんを御存知ですが』/仲間は、茶碗に注いだウィスキーのため無遠慮になる。/『知っているも何にも、Qとわたしは親友ですよ。彼が日本 … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 二十

一 橋のほとり 二十 桂さんと西、原などとの挨拶が描写されたのちに、武田泰淳は、軍地に、 「駄目だよ。我々の方から言い出さないで聴こうとしても」軍地は仲間の外交辞令に苦笑して言った。『桂さんは政治家だからね』/『わたしは … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 十九

一 橋のほとり 十九 「軍地はこの神聖な単語(中国)を汚濁した罪の共犯者でもあるかのように、峯をジロリと眺めやったものだ。共犯者。そうかもしれなかった。……。彼(峯)が火曜会に出席することさえ、美しい言葉に泥を塗り、その … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 十八

一 橋のほとり 十八 「……。月報に載せる論文を、峯は何回突き返されたことか。一太刀、二太刀、鍔(つば)鳴りもせずに斬りつけて置いてからり、軍地は年長の同人と、後を囲む。パチリパチリと並べられて行く白黒の石を睨(にら)み … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 十七

一 橋のほとり 十七 また長い引用です。しかし、武田泰淳の作品は、地の文に素の魅力が隠れている場合が多いのです。 「頽れる堤と頽れる堤のあいだに、何度、いいかげんな端を渡しても。無駄であった。贋の橋や仮りの橋は、押し流さ … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 十六

一 橋のほとり 十六 「偽満洲国はまだ成立していなかった。日本政府は中国の東北部で、まだ利用できる軍閥と連絡を保っていた。日本の中国研究の主流は、官立大学の教授たちの掌に握られていた。東大には漢学会と斯文会、京大には支那 … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 十五

一 橋のほとり 十五 「軍地の眼は、藻の重なる中心だけを黒く残して、表面を白く反射させる、深い沼を想わせた。それは、青春の峯を吸い込み、支配した。」 個の地の文の表現の比喩は、危ういものがあります。突然、沼野比喩が出てき … Continue reading

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武田泰淳 『風媒花』 十四

一 橋のほとり 十四 「『僕は峯に対して責任があるからな。だからあえて言うんですよ。厭味を言っているわけじゃない』……。『俺が女房か、厭だね』」 ここで、若い腹が最近になってようやくしゃべりだした事が語られ、軍地と峯がと … Continue reading

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