宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」について4

 6年間の仕事の合間に、ずっと読んでいた本の著者であるクーボー博士、彼に会うためにイーハトーブにやってきたブドリ。そして、ようやく見つけた学校で、たまたま受けた授業で先生をしていたのがクーボー博士だったのです。授業が終わり、生徒達の提出したノートを採点していき、最後にブドリの手帳を目にしたのです。それをみて、クーボー博士は頷くと、図に関しては非常に正しい、と褒めてくれたのです。更に、ブドリが自分の出した質問に的確に答えると、笑いながらブドリが何の仕事をしているのか聞いてきました。その仕事を探す為に来たことを伝えると、クーボー博士はおもしろい仕事がある、と名刺をとりだし、そこに何かを書き込んでブドリにくれたのです。
 ブドリは頭を下げて、すぐにクーボー博士が紹介してくれた名刺の宛名を訪ねました、そこは大きな茶色の建物で、うしろには房の様な形をした高い柱が夜の空にくっきり白くたっていました。玄関で呼び鈴を押すと、すぐ人が出てきて、名刺を受け取ると突き当りの大きな室へ案内してくれました。そこには少し髪の白くなった人の良さそうな、けれど立派な人がいましたが、ちょうど電話をしながら何かを書いている所でした。

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宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」について3

 住んでいた場所も火山の噴火で住めなくなり、また一人になったブドリは町の方へ歩き続けました。そして、なんとか沼ばたけで馬で泥をかき回す仕事にありつけました、毎日、毎日、泥まみれになりながらも、ブドリは懸命に働きました。その仕事は楽ではなく、のんびりした日々ともいえず、そんな中でブドリが気になったのはクーボーという博士の本でした、興味を惹かれたブドリは仕事の合間を見つけては博士の本を読みこみました。そして、6年経った頃に沼ばたけの主人と分かれ、ブドリはクーボー博士の元を訪れました。博士はイーハトーブに居り、それを知っているブドリはイーハトーブに着くなり、博士の元へ急ぎました。そして、博士が授業をしているという学校へ行き、初めて勉強する場を目にしたのです。
 いろいろな格好をした学生、その前で話す先生、たまに模型を使って説明する様子、それを不思議そうに見る学生の様子をブドリは面白いと感じたのです。ちゃっかり席に座って授業を聞いていたブドリは、隣の学生に授業をしている先生の名を聞きました。すると、その先生がブドリの会いたがっていたクーボー博士だったのです。そして、ブドリが偶然にも書いた図が、2人を引き合わせるきっかけになったのです。

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宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」について2

 両親がいなくなり、妹を見知らぬ男に連れ去られたブドリは、男を追いかける内に倒れてしまいます。そんなブドリが目を覚ますと、茶いろのきのこしゃっぽを被り、外套をシャツを着た男が針金で出来た何かを持っていました。男はブドリに網掛けを手伝え、と声を掛けてきました、男がいうのは森は男が買ったそうで、手伝う気がないなら他所へ行けと言うのです。ブドリは泣きそうになりながらも、手伝うといい、一度は木から落ちたものの、網掛けをこなしていきました。途中で疲れて家に帰りたいというブドリに、男は蒸したパンを渡しながら、ブドリの家が既にてぐす工場になっていると言うのです。他に行く場所のなかったブドリは、男の寄こしたパンを食べて、また働いて、工場の隅で小さくなって眠りました。それから、ブドリは工場にされた家で働き、冬はてぐす飼いの男が置いていった食べ物を食べながら、段ボールの中に入っていた本を手本に文字や図を書き写しながら勉強をして暮らしました。
 春になると、また男が新しい手下を連れて戻ってきたのです、その次の日からは去年と同じ様な仕事が始まりました。ですが、仕事は急に起こった噴火により終わりを告げ、男はあぶないから森を出て、別の場所で働く様に言って去っていきました。また一人になったブドリは、今度は野原へ出ていくことになったのです。

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宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」について1

 本日から紹介するのは、前回に引き続き、宮沢賢治氏の童話です。これは前作の「銀河鉄道の夜」とは違い、宮沢賢治が生前に発表した童話で、1932年4月に刊行された雑誌「児童文学」に掲載されたそうです。更に、本作は2012年に長編アニメーション映画にもなっているので、原作を読む前に此方を見ている方も居るかもしれません。そんな本作は主人公「グスコーブドリ」、通称「ブドリ」の生涯を描いた作品となっており、また作者の農業に携わった経験も生かされています。
 そんなブドリの人生は、大きな森から始まります、名高い木こりの息子として生まれ、母親は家の前にある小さな畑の世話をしており、またネリと言う名の妹が居ました。ですが、ある年から父親の切った薪が売れなくなり、食べ物に困る様になったのです。やがて、父親は家を出たまま戻らなくなり、次に母親も僅かな食べ物だけ残して居なくなってしまいました。そんなブドリに、更に悲しい出来事が起こります、僅かに残った粉を妹と分け合っていると籠を背負った目の鋭い男が来て、食べ物をくれたと思ったら妹ネリを籠に入れて連れ去ってしまったのです。ブドリは泣きながら男を追いかけましたが、ロクに食べていない子供が大人に追いつける筈もなく、やがて森のはずれで力尽きて倒れてしまったのです。

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宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について20

 カンパネルラもいなくなってしまった汽車の中で、ジョバンニは声を聞きました、その声はカンパネルラを探しても無駄だと告げたのです。その声と言葉を交わしながら、ジョバンニは自分の為に、母の為に、カンパネルラの為に、そして皆の為にほんとうの幸福を探す、と席を立ちました。すると、声はジョバンニはほんとうの世界でまっすぐ歩いて行かなければならない、その中で切符を手放すな、と告げたのです。そこで、ジョバンニの元に知り合いの博士が来て、小さく折った緑色の切符をポケットに入れました。その切符には二枚の金貨が包んであったのです、ジョバンニは博士にお礼を言い、母に直ぐに乳を届けると言って走り始めたのです。
 そこで目を開くと、最初に寝転んだ丘に居たのです、そして自分が眠っていたことに気付き、急いで牛乳を受け取ったジョバンニは牛乳を受け取って牧場を後にしたのです。そして、帰り道でカンパネルラが祭りの途中、川に落ちて既に長い時間が経ったこと、そして現実の博士から父親から手紙が来たことを知らされます。色んな思いが胸に溢れたジョバンニは、博士に何も言えず、とにかく牛乳と、お父さんの帰りをお母さんに知らせようと走りだす所で、この物語は終わりを迎えます。これで、本日まで続いた宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」は最後となります。

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宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について19

 自分が銀河鉄道の特別な切符を持っていると知ったジョバンニは、カンパネルラと一緒に、本当にどこまでも行くつもりでした。けれど、途中で一緒になった青年と、青年と一緒に居た姉弟は、サザンクロスで天へ上る為に銀河鉄道を降りなければならないというのです。最初はカンパネルラと仲が良さそうに喋っていた姉の方を少し疎ましく思っていたジョバンニですが、別れの時が来ると悲しくなり、声を上げて泣きそうになりました。その時、天の川の川下に散りばめられた色とりどりの十字架が、まるで一本の木の様に立ち上がって光を放ったのです。その光に合わせるように汽車の中で祈りの声が次々上がり、汽車は十字架の真向かいで止まったのです。ここが、青年や姉弟の降りる「サザンクロス」だったのです、ジョバンニは泣きたいのを堪えて「さよなら」と言いました。そして、再び汽車が動きだす時には、半分以上の席が空っぽになっていたのです。
 また2人だけになった座席で、ジョバンニは改めてカンパネルラに「どこまでもどこまでも一緒に行こう」と言いました。カンパネルラも頷いてくれましたが、そのカンパネルラも、ジョバンニを置いて行ってしまったのです。ついに泣き出してしまったジョバンニの耳に、今まで不意に聞こえてきた声が、また聞こえてきたのです。

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宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について18

 車掌に切符を促され、ジョバンニは咄嗟にポケットに入っていた四つ折りの紙を差し出しました、なぜか分かりませんが、ジョバンニはそれが何かの証明書だと考えたのです。思った通り、その紙は特別な切符で、鳥捕りは「銀河鉄道でどこまでも行ける」と言うのです、ここで初めて「銀河鉄道」という言葉がハッキリ出てきます。その後も銀河鉄道は進んでいきますが、その途中で鳥捕りや、その後に出会った、乗っていた船が氷山にぶつかったという青年、その青年と一緒にやってきた十二歳くらいの女の子と、その子より少し幼いだろう男の子の姉弟、それから黄金と紅でキレイに彩られたリンゴを分けてくれた燈台看守などと不思議で、けれど美しい光景を次々に見聞きしました。ですが、どんな事にも終わりがあるように、銀河鉄道に乗る人達にも降りるべき場所があったのです。
 鳥捕りは気付かない内にいなくなってしまいましたが、その次に出会った青年はサウザンクロスで降りると言ったのです、青年と一緒に来た男の子はジョバンニとカンパネルラとの別れを惜しんで、まだ乗っていたいと言いました。たまらず、ジョバンニも自分は特別な切符を持っているから、もっと一緒に乗っていこうとも言いました。けれど、女の子は天上へ行くために、降りないといけないと、寂しそうに言うのです。

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宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について17

 カンパネルラに売り物が「鳥」ではなく、只のお菓子だ、と言われた鳥捕りは慌てた様子で荷物と共にいなくなってしまいました。ですが、不思議に思う2人に教えるように燈台守が窓の外を見るので、そこを見ると鳥捕りが本当に鳥を捕まえている所が見えたのです。しかも、さっき2人が食べた様に鳥が平らになる様子まで見た上に、さっきまで汽車の外に居た鳥捕りが何時の間にか戻ってきて捕まえた鳥を数えていたのです。ジョバンニがどうやって戻ってきたのか聞けば、鳥捕りの方が不思議そうに来ようとしたから来た、むしろ2人はどこから来たのか、と問い返してきたのです。そう聞かれ、ジョバンニは答えられず、カンパネルラの方は何か思い出そうとしている様でした。そんな2人に鳥捕りは遠くからきたのか、と1人納得したように言うのです。
 それから少しして、3人の席の横に赤い帽子をかぶった背の高い車掌が急に現れ、切符を拝見いたします、と言ったのです。鳥捕りが直ぐに小さな紙を出し、それを受け取って中身を確認した車掌は、今度は2人に手を出してきました。ですが、気付いたら汽車に乗っていたジョバンニは切符を買った覚えがないので、出しようがありません。ですが、カンパネルラは直ぐに小さい鼠色の切符を出したのです。慌てたジョバンニはもしかしたら、と思い、上着のポケットを探ってみました。すると、四つ折りの紙が出てきたので、それを車掌の手に乗せたのです。

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宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について16

 行き先を聞かれ、なぜか怒った様に聞き返したカンパネルラに、彼自身も笑ってしまい、それに気付いて赤くなってしまったのですが、相手は気分を悪くした様子もなく、自分はすぐに降りるというのです。その人は鳥を捕まえる商売をしているといい、こんな場所に鳥がいるのかと不思議がる2人に、耳をすませれば水が沸くような音がすること、鷺は天の川の砂がかたまった場所へ行って、簡単に捕まえられること、そして捕まえた鳥は押し葉の様に平たくする、と言うのです。更に、それは標本にするのではなく、皆が食べる、というのです。平たくした鳥を食べる、と聞いて首をかしげる2人に、男は網棚の包みから捕まえたばかりだという鳥を見せたのです。
 それは本当に鳥の鷺で、それが平たくなって、十ほど並んでいるのです。男、鳥捕りは美味しいから毎日注文があること、雁の方が売れると言い、2人に雁を少し食べさせてくれました。ジョバンニは鳥がチョコレートより美味しいので、これは本物の鳥じゃなくて、精巧に出来たお菓子で、この人はお菓子会社の人で今の話は作り話なんだろう、と思ったのです。カンパネルラも同じ事を思った様で、鳥捕りが燈台守だという人と少し話した後にハッキリと「ただのお菓子でしょう」と聞いたのです。すると、鳥捕りは慌てた様子で、ここで降りないといけない、と荷物を持って行ってしまったのです。

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宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について15

 少しの間だけ汽車を降り、再び席に着いたジョバンニとカンパネルラの前に、声を掛けてきた大人がいました。その日とは茶色の外套を着て、白い布切れで包んだ荷物を二つに分けて、肩にかけた赤ひげで背を曲げた人でした。2人に声を掛け、その人はゆっくり網棚に荷物を乗せました、ジョバンニは何か寂しい様なきがして、黙って正面の時計を見ていました。やがて、ガラスの笛の様なものが鳴り、その頃には汽車は静かに動いていたのです。カムパネルラは車室の天井をあちこち見ており、赤ひげの人は2人をみて懐かしそうに見ていました。汽車は徐々に速度を上げて、窓の外は再び光りました。そんな中で、赤ひげの人が2人に何処へ行くのかと聞いてきたのです。
 気付いたら汽車に乗っていたので、ジョバンニが「どこまでも」と少しきまり悪そうに答えると、赤ひげの人は「この汽車、どこまでも行きますぜ」と返し、カムパネルラはケンカの様に「あなたはどこへ行くんですか」と聞くので、ジョバンニは思わず笑ってしまいました。
 すると向こうの席にいた、とがった帽子をかぶり、大きな鍵を腰に下げた人も笑っていたのです。思わず声を出したことに気付いたカムパネルラも、つい顔を赤くして、笑いただしてしまいました。

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