前回の記事で「こころ」は夏目漱石の「後期三部作」の一つだと紹介しました。後期があるので、当然ですが前期もあるのです。それが「三四郎」、「それから」、「門」の三作品です。この三作品は主人公こそ違いますが、人間の恋愛や葛藤などが描かれている作品です。「吾輩や猫である」や「坊っちゃん」で陽気なイメージを持っている人もいるでしょうが、夏目漱石の人気作品では様々な人間ドラマが繰り広げられている事が多いのです。これは漱石に限らず、現代文学でも通じる内容でしょう。当時は作品と似たような恋愛を繰り広げる作家も居たそうですが、漱石は育った環境の為か女性に対して少し懐疑的な部分があったそうです。
小説を書く際は外に出て「理想の美人」を見つけて、それをモデルにしていたという逸話もあります。そんな複雑な背景があるので、漱石の作品は人の心を打つのかもしれません。ただ、当人は男性の支持を集めており、その御蔭で今日まで漱石の人柄が分かる逸話が多く残っているとも言えます。
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