夏目漱石について その16

 前回の記事で漱石の飼い犬について触れましたが、ちゃんと猫の逸話もあります。「吾輩は猫である」に登場する名前のない猫ですが、このモデルは小説と同じ様に漱石家に入り浸った一匹の猫です。全身が真っ黒で奥さんは追い出そうとするも居ついてしまい、漱石は来るなら置いて良いだろうと承諾したのです。奥さんも最初は邪険にしていたそうですが、家にやってくる按摩さんが「足の裏まで黒いから福を呼ぶ」と言い、占いやゲン担ぎが大好きだった奥さんに気に入られました。どれだけ気に入られたかと言うと、その猫が亡くなった際は庭に作った墓に割と良い品を供えたとか。
 実際に「猫」を題材にした小説で漱石が作家デビューしたのもあるので、福を呼んだと言えます。ちなみに「吾輩は猫である」が売れた頃は、まだ漱石は教師をしていたので生徒の間で漱石の渾名が「猫」になっていた事もあるそうです。本人は犬を可愛がっていたそうですが、やはり作品のイメージは大きい様ですね。猫が好きな私としては、もっと猫の話が知りたかったですね。

Posted in 文学 | Leave a comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください