前回の記事で漱石が「修善時の大患」で上の兄二人が亡くなったと書きましたが、この年代は今では当たり前の様に治療できる病でも命を落とす事がありました。漱石の上には長男から大一、栄之助、和三郎、久吉という四人の兄弟がおり、姉もいます。三男の久吉は三歳で他界しており、他の兄も漱石が若い時に亡くなっています。その内の二人は漱石の様に病を患い、亡くなる際も病の面影が体に残っていると「思い出す事など」に記されています。少し体調が良くなった際に鏡を見ると兄の面影があり、兄は漆の様な黒髪をしていたが、自分の髪には銀色の筋が交じっているとも書いています。
亡くなり方としては若い時分だったので、ある意味で良かったかもしれないとも書いています。友人だった正岡子規も若くして亡くなり、知り合いの子供や知っている人も他界していたのを知り、漱石は色々と思う所があったとされています。これ以降に発表された作品も大きな影響を受けたとも言われています。
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