夏目漱石について その23

 前回から夏目漱石を語る上で外せない「修善寺の大患」を書いていますが、その中でも思わずクスリとしてしまう話があります。それは「食事」です。最初の頃に書いたかと思いますが、漱石は甘党です。ですが、この時は胃に穴があいていたのもあり、目が覚めてからは僅か五十グラムの御粥を鯛の味噌と合わせたのをスプーンで一杯ずつ食べていたそうです。五日目で御医者さんが献立を考えてくれて、好きそうな献立を選んでくれたと「思い出す事など」に書かれています。胃が悪いので起きて何でも食べられないのは分かりますが、ジャムを瓶から舐める程に甘い物が好きだった漱石にとっては辛い経験だった事でしょう。この書籍にも、重湯の不味さや代わりに貰ったビスケットが美味しかったと記されて、もっと食べたいと何度も言って子供の様だと指摘されたと書いており、おまけに「粥の味」と書いた俳句も読んでいます。胃が不調なので仕方ないんでしょうが、食事以外に楽しみがないと感じられますね。

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