夏目漱石について その27

 十月に入り、秋らしい気候になってきました。もちろん、私は「読書の秋」を満喫する予定です。それはさておき、前回の記事で取り上げた夏目漱石の「博士問題」ですが、辞退したのが作家として著名だったのもあり、この問題で周囲も随分と騒がしくなりました。一部では漱石が博士制度を廃止しろという物ではなく、単純に自分の「主義の問題」だと新聞に発表しました。それから暫くして、彼と親交の深い寺田寅彦が帰国します。
 その際に寺田寅彦は「夏目漱石先生の追憶」という随筆の中で「帰朝して後に久々で会った先生はなんだか昔の先生とは少しちがった先生のように自分には思われた」と書いています。この文章の前に、ある音楽会で漱石が曲目中に面白いところがあったと帰り道でかえるの鳴き声を真似たと書いています。その後に出てくる「かえるの声のまねをするような先生はもういなかった」という一文を見るに昔から知っている人物から見ると、博士号という立派な物を貰う漱石は随分と遠くに行ってしまった様に感じたのでしょう。ちなみに少し前の記事で漱石が奥さんの着物を身につけているのを見たのも寺田寅彦です。

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