前回の記事で寺田虎彦が書いた話ですが、あれは「夏目漱石先生の追憶」から抜粋しております。夏目漱石には数多く弟子がおり、漱石に関する逸話は彼らが残した著書から伺えます。また、彼らの事を漱石が書き残していた事もあります。これも前述の記述から抜粋しますが、夏目漱石の死後に見つかったノートで「Tのすしの食い方」というのがあります。これは彼がすしを御馳走になった際に漱石が海苔巻を食べると自分も食べる、漱石が卵を食べると自分も食べる、海老を残したら自分も海老を残したそうです。
本人は無自覚だったらしく、指摘されるまで気付かなかったそうです。これは前の記事より若い頃の話ですが、二人の親しい雰囲気や気難しい漱石が彼を気に入る理由が分かる気がします。また、自分の服装に関して生前の漱石には落第点を付けられたと書いています。逆に漱石は気を使っており、外出の際はきちんとしており、また新しい服を買った際は見てくれと言われたとも書いています。こうした個人的な話が残っているのも、漱石が慕われた証拠です。
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