前回は洋菓子の話をしましたが、本日は漱石の作中に登場した和菓子を紹介します。それが「団子」と「笹飴」です。この二つは漱石が教師として赴任した事がある四国の松山を舞台に繰り広げられる「坊っちゃん」に書かれています。団子は「大変うまいと云う評判だから、温泉に行った帰りがけに一寸食ってみた」とあり、笹飴は「清が越後の笹飴を笹ぐるみ、むしゃむしゃ食っている」とあります。
どちらも実際に漱石が口にした食べ物で、団子は道後温泉の近場で売っていたおり、今では「坊っちゃん団子」と名を変えて松山の名物になっています。笹飴は「越後の笹飴」と言い、「修善寺の大患」で出会った森成医師が東京に戻った際に粟やもち米の水飴なので胃腸に優しいだろうと食べさせた様です。後に森成医師は故郷で開業すると笹飴を毎年に一回は送っており、大正二年に漱石が森成医師に宛てた手紙で「自分も一つ食べたが、後は子供達が食べてしまって笹を座敷に散らして大変だ」と残しているそうです。こちらも名前こそ変わっていませんが、名物となっております。
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