夏目漱石について その63

 六月も半ばに差し掛かり、梅雨らしく雨の日も多くなりました、ですが晴天続きだと日中の寒暖差が続きます。そんな本日も「三四郎」から、広田先生との出会いの続きです、翻訳の話を振られて続きがあるのかと思っていた三四郎ですが、広田先生は話題を止めてしまいます。そして、なかなか帰ってこない与次郎に対して「おそいな」と独りごとの様に言います。三四郎は自分が見てこようと聞きますが、それで出てくる男ではない、ここで待っている方が良いと言います。そして、枳殻、からたちというミカン科の落葉低木の垣根の下にしゃがんで拾った小石でもって、土に何かをかき出す。これを見て、三四郎は呆れます。
「のん気なことである。与次郎ののん気とは方角が反対で、程度がほぼ相似ている」
 と、広義中に落書きをする与次郎を思い出したのか、こう作中で思います。そんな広田先生は、戻って来た与次郎が借りもしない家の事を話すのに呆れて、時間がかかってしかたないと言います。そんなに長かったかと与次郎は自覚がなく、絵を描いていた広田先生こそ呑気だと言い、何の絵か聞きます。黙っている広田先生に、三四郎が真面目な顔で答えを聞きます。

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