夏目漱石について その71

 さて、前回は与次郎が貸家を探している原因が明らかになりました、今の所は持ち主が勝手な家賃上げをして、それに腹を立てた与次郎が出ていくと一方的に宣言します。ですが、肝心の家は見つからず、心当たりがないか三四郎の元へ来た筈ですが、途中で違う話になってしまいます。三四郎の元へ来る前に、与次郎は大久保まで行ってものの、いい物件がなかった事と宗八、三四郎も知っている野々宮宗八の元を訪ねたといいます。
 そこで彼の妹、よし子の様子も教えてくれました、残念ながら顔色は良くなかったそうです。それから、色々と話すのですが、今日はよほど忙しかったのか、少しせきこんでしまいます。ただ、ひと段落つくと、再び三四郎に心当たりがないか聞いてきます。その姿に、三四郎は笑い出してしまいます。やがて、落ち着いてきた与次郎は何時もの調子で話し出すのです。
「そのうち与次郎の尻が次第におちついてきて、燈火親しむべしなどという漢語さえ借用してうれしがるようになった。話題ははしなく広田先生の上に落ちた」

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