夏目漱石について その73

 そこで三四郎は広田先生と初めて会った時の事を思い出します、三四郎が上京するために乗ったのは三等汽車、それを与次郎に教えると「不平を言ったんじゃないかと」と当たり前の聞いてきました。べつに言わなかったと返せば、与次郎は広田先生を「哲学者だ」と言います。三四郎が学校で教えているかと聞けば、先生が受け持っているのは教科は英語だけだが、広田先生が自分から哲学に出来上がっていると言います。
 哲学の本も出していないし、論文を書いても世間が大騒ぎするでもなし、あれではダメだといいます。更に先生は自分を「丸行燈」と言ったが、本人は「偉大な暗闇」だとも言います。三四郎は世に名前が広がっても良さそうだと言えば、与次郎はこう返します。
「出たらよさそうなものだって、――先生、自分じゃなんにもやらない人だからね。第一ぼくがいなけりゃ三度の飯さえ食えない人なんだ」
 それを聞いて三四郎は「まさか」と笑いますが、与次郎は嘘じゃないと言い、今度は真面目な事を言います。内容は次回の記事にて紹介します。

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