夏目漱石について その81

 本日は、三四郎の中にある「三つの世界」についての続きです、三四郎は寝る前に母親からの手紙を読みます。そして、自分の中に三つの世界が出来たことを考え、そして三つを比べてみます。そして、この三つを混ぜて、その中から一つの答えを得ました。内容は実に簡潔で、母親を東京に呼んで、キレイな奥さんを迎えて、勉学に励む。それにこしたことはない、結果は本当のシンプルですが、その考えに至るまでに色々と考えたのです。ですが、考えに使った労力を損得勘定に置き換えて、答えの価値を上げ下げする思索家と思う自分でみれば安易や簡単とは言い切れません。
 ですが、そうなると三つの世界を一人の奥さんで表する事になります、世の中にキレイな女性はたくさんいます。ここで三四郎は広田先生の「翻訳」という言葉を思い出し、そこから自分の全て表する女性を見つけるには、一人でも多くの女性に会わなければならない。奥さん一人を知っているからと油断すると、自分の成長が妨げられる。そこで、三四郎は思います。
 「三四郎は論理をここまで延長してみて、少し広田さんにかぶれたなと思った」
 そんな事を考えた翌日、ばったり与次郎に会います。

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