夏目漱石について その83

十月も残り僅かになり、日中も長袖で過ごす気温になってきました、そんな本日も三四郎の続きを紹介します。
 与次郎に引越しの手伝いを頼まれた翌日は天長節、今の「天皇誕生日」に当たる祝日でしたが、三四郎は学校へ行く様に手伝い先に向かいます。すると、妙に細い通りの半ばに古い家がありました、玄関はなく、代わりに西洋風の部屋が一つ突き出ていて、ほぼ直角に曲がった所に座敷があります。その後ろには茶の間があり、炊事や雑用をしてくれる女性の住み込み部屋と並んでいます。それから二階がありますが、それが畳何枚分の広さなのかは分かりませんでした。与次郎に掃除を頼まれた三四郎ですが、そこまで見て、掃除に必要はないだろうと思います。物凄くキレイではないですが、それでも思います、なぜなら。
 「しかし何といって、取って捨てべきものも見当らない。しいて捨てれば畳建具ぐらいなものだと考えながら、雨戸だけをあけて、座敷の椽側へ腰をかけて庭をながめていた」
 そして、三四郎は庭を見る事にしたのです。

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