夏目漱石について その87

 広田先生と与次郎の引越し先に来て、三四郎は意外な人と会います、それは大学で見かけた時から気になっていた女性でした。彼女は広田先生に用があった様で、三四郎が今はいないが直ぐに戻るだろうと言えば、ためらいつつも話しかけてきました。三四郎は掃除を頼まれてきた者だと言いますが、さっきまで庭を眺めていたのを見られていたので、なんだかおかしくなりました。すると、彼女も笑って、少し待ちましょうと言い、言外に待ってもいいかと聞かれているようで、三四郎は何だか楽しくなった。
 ただ丁寧に返すつもりが「ああ」という言葉しか出なかった。それでも彼女が立っているので、三四郎は仕方がないので逆に彼女が誰か聞いてみました。すると、彼女はバスケットを置いて、三四郎に一枚の名刺をくれました。
 「名刺には里見 美禰子(さとみ みねこ)とあった。本郷真砂町だから谷を越すとすぐ向こうである。三四郎がこの名刺をながめているあいだに、女は椽に腰をおろした」
 そこで、三四郎は改めて挨拶します。

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