さて、本日から紹介していく「坊ちゃん」ですが、この物語は有名な一文から始まります。
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている」
作品を知らなくても、この一文を聞いたことはあるかもしれません、また主人公の性格が一目で分かる一文でもあります。小学校の時には同級生にからかわれて二階から飛び降り、親類からもらった西洋ナイフの切れ味を疑われて自分の指を切り付けて一生の傷を残したり、菜園にある栗を守るのにと年上の相手をケンカしたり、ニンジン畑を荒したり、井戸に細工したり、いたずらも随分とやったと語っています。
更に父親と母親の文句も正に言いたい放題、特に父親にはロクなものにならないと言われ、本人は「ご覧の始末である」と胸を張っている姿が浮かびそうな言葉を返しています。その後も家族のことが綴られていますが、お世辞にも仲がいいとは言えません。上の兄とケンカして父親に縁を切るといわれても仕方ないと思います。作者の漱石も生家と不仲だったので、それが反映されたのかもしれません。
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