夏目漱石「坊っちゃん」について4

 前回の記事では、自分を可愛がってくれる清という女性が出てきました、彼女は自分のお金で金鍔や紅梅焼を買ってくれ、寒い夜は蕎麦湯を持ってきてくれて、鍋焼きうどんも買ってくれることがありました。それも食べ物に留まらず、足袋に鉛筆、それに坊ちゃんが断ったにも関わらず、お金も貸してくれることもあったのです。これに関しては使い道こそ忘れたものの、流石の坊ちゃんも返してやりたい気があった様です。ただ、物をくれる時は家族がいない時だけ、これを坊ちゃんは嫌がったのです、作中でも「人に隠れて自分だけ得をするほど嫌いな事はない」と言い切って、兄にやらない理由を聞けば、清は父親が買うから構わないといいます。
 坊ちゃんは腹を立てます、それは不公平だと、いくら仲が悪くとも父親は片方だけ贔屓する男じゃない。でも、清にはそう見えている、しかも坊ちゃんは将来は立派になると思い込んでいるのです。ですが、父親も亡くなり、坊ちゃんは中学校、兄が商業学校を卒業して九州に行くとなれば、もう一緒にいられません。

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