夏目漱石「坊っちゃん」について7

 前回までは、物語の舞台となる中学校の数学教師を勧められ、宛てもないので返事をした所で終わりました。それを坊ちゃんは「親譲りの無鉄砲」が祟ったと思いましたが、それでも引き受けた以上は赴任しなければと、準備を始めます。三年間を過ごした四畳半は誰かの小言もなくケンカもしなかったので今までの人生では呑気な生活を送れた場所です。しかし、四国辺りに行くなら出なければなりません。生まれも育ちも東京、遠出は同級生と鎌倉へ行った位なのに、今度は本当に遠くへ行くのです。ただ、坊ちゃんは分からなくても困らない、けれど少し面倒臭いと思わずには居られなかった様です。
 それから、出立前に甥の所に身を寄せている清に会いに行きました、家が畳まれた後も時々は顔を見せていたのです。清の甥はいい人で、行くたびに歓迎してくれました、肝心の清は自分の願望を混ぜた様な坊ちゃんの自慢話、子供の頃の話までするので思わず赤面することもありました。そんな清に赴任の話をする為に、出立三日前に会いにいきました。

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