夏目漱石「坊っちゃん」について11

 前回まで宿屋の話でしたが、扱いに関しては少し不満を残しつつ、坊ちゃんは再び中学校へ向かいます。今回は学生も校長もおり、ようやく物語が進んでいきます。校長に会う前に生徒の中に自分より背が高くて強そうな生徒を見つけ、こんな生徒を教えるのかと思い何だか君が悪いと思ったり、校長を大きな狸の様な男だと思ったり、受け取った辞令を職員に見せて回るのは面倒だと思ったり、坊ちゃんは相変わらずです。更に校長から職員が揃うまで長々と話す「教育の精神」を聞いて、飛んでも所へ来たと思います。
 何故なら、自分の様な無鉄砲な者には生徒の模範になれ、教師として尊敬されること、学問以外でも個人的に徳になることをしなければ教育者にならないなど、自分を知っている坊ちゃんにも「法外な注文」と並べて来るのです。そこまで聞いて、嘘をつくのが嫌いな坊ちゃんは断る決意をします。宿屋にチップを押し付けたので東京までの旅費はありませんが、嘘をつくよりましだと思って校長に辞令を返すといえば、意外な返答があったのです。

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