夏目漱石「坊っちゃん」について16

 前回の記事で後の友人となる山嵐に親しみを覚えた坊ちゃんですが、今回から教師として学校に行きます。初めて教壇に上がり、教える側として生徒を相手にする事に少し物怖じして最初の一時間を何とか乗り切り、職員室へ帰ります。山嵐にどうだと聞かれ、うんと簡潔に返すと彼の方が安心した様でした。二時間目からは敵地に乗り込むような気持ちで向かい、前の組より体格の良い生徒達を相手にします、そこで負けん気が出たのか江戸っ子のべらんめい調で授業を行います。坊ちゃんの口調は生徒の一人がゆっくり喋ってくれと頼むほどで、それでも自分は江戸っ子だから分かるまで待っているようにと答えます。
 そんな調子で授業を進めていきますが、最後に生徒の一人が幾何、幾何学の問題を持ってきたのです。坊ちゃんが次回に教えると引き揚げれば生徒たちは騒ぎ出し、先生にも出来ないという声も聞こえます。それに腹が立ったのか、山嵐に生徒は分からず屋だと言って妙な顔をさせました。

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