夏目漱石「坊っちゃん」について18

 前回は学校に不満を漏らし、それを山嵐に窘められ、宿の戻れば亭主に書画を勧められた坊ちゃんですが、自分は二年前は使いに行った帝国ホテルで錠前直しに間違われ、帽子を被って鎌倉の大仏を見に行けば車の人に親方と言われ、他にも間違われた事はあれど風流を言われた事はありませんでした。本当に風流な人なら身なりで分かるだろうに、自分を風流人と真面目とはと警戒心を抱きつつ、誘いを悉く断ります。おまけに主人は坊ちゃんに苦い上に濃いお茶までだし、自分もちゃっかり飲んでいきました。
 それから毎日、毎日学校で出て規則的に働き、返って主人の茶を飲みつつ、一週間ほどを過ごして学校と宿屋の夫婦の事を大体は理解しました。また、自分の様に辞令を受けてから一週間か一ヶ月は自分の評判を気に掛ける人が多いと聞きますが、坊ちゃんは評判なんて気にしないし、心配長続きしないし、授業でミスをして校長や教頭に何と思われても気にしない、度胸は据わっていないが思い切りはいいと作中で断言しています。

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