夏目漱石「坊っちゃん」について27

 前回でバッタを入れたのは自分ではない、と言い張る6人の寄宿生の態度が気に入らなかったのは、坊ちゃんも子供時代に悪戯をしたものの、誰がやったと言われれば自分だと素直に言っていたからです。自分ではないと、尻込みするような事は一度もなかったのです、いくら悪戯をしても嘘をついて逃げる位なら、始めからしないと思う程でした。そして、悪戯には何かしら罰がある、悪い事だと叱られるのを承知でやるから気持ちよくできるの、と。だから、誰がやったかはわかりませんが、何かと言い返してくる寄宿生達は悪戯だけして罰を逃れようとしている様に見えたのです。
 なので、そんなに言うつもりがないなら聞かなくていい、中学校へ入って良い事と悪い事の区別が出来ないのか、と6人を放り出しました。6人は悪びれた様子もなく、悠々と戻っていき、それから改めて寝ようとすると今度は蚊帳がうるさく、それを黙らせて3度目にようやく床に入れたのです。ですが、寝付けない坊ちゃんは厄介な所へ来たと改めて思ったのです。

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