夏目漱石「坊っちゃん」について31

 さて、宿直として漸く、学校で一晩を過ごそうとした坊ちゃんですが、生徒の嫌がらせなのか何なのか、とにかく二階の騒ぎを諫めようとしたものの、怪我までして廊下で夜を過ごす事になったのです。そうして、今までの疲れが出てうとうとしていると、また騒がしくなって目が覚めます。すると、そこには押しても引いても開かなかった戸の一つが半分あいて、生徒が二人、坊ちゃんの前に立っているのです。それに気付くや、坊ちゃんは一人の足を掴んで、力任せに引いて仰向けに倒したのです。ここに至るまでの仕返しが出来たと思う坊ちゃんは、もう一人に飛びかかり、二度三度と小突いたのです。
 それに驚く生徒達を無視して、自分の部屋の来いと言えば、素直についてきます。その頃には、夜はとうに明けており、それでも坊ちゃんは生徒を問い詰めても知らないと言い張るのです。それから、また一人、もう二人と生徒が宿直室に集まってきます。その顔が眠そうなのを見て、坊ちゃんは一晩くらい寝なくても平気だろうと別の意味で腹を立てます。

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