夏目漱石「坊っちゃん」について33

宿直の騒動で睡眠を邪魔された坊ちゃんは、次に赤シャツに釣りに誘われます、大学を卒業したのに男か女か分からない喋り方に文士なのに見っともない内心で文句を言います。気が進まない返事をすると、釣りをした事があるのと聞いてきます。子供の時に少しやった事があると程度なのを言えば、ホホホと笑って「それじゃ、まだ釣りの味は分からんですな。お望みならちと伝授しましょう」と得意げに返してきます。そんな態度に坊ちゃんは魚や鳥を捕まえなくては生きられない訳でもないのに、わざわざ捕まえる必要があるのかと腹を立てます。
 しかし、相手は文士なだけに口が上手く、議論では勝てないと黙っていると、向こうは勝手に降参したと思って伝授しましょう、暇なら今日はどうです。と、勝手に話を勧めて、坊ちゃんが勝手に野だいこと名付けた画学の教師、吉川に一緒に行こうとしきり声を掛けます。この野だいこ、こと野だはどうしてか赤シャツに付き従っているのです。同輩ではなく、まるで主従の様に一緒にいる事が多いのです。

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