夏目漱石「坊っちゃん」について34

 前回、赤シャツに釣りに誘われた坊ちゃんは沈黙を肯定と思われ、いつも主従の様に赤シャツと一緒にいる吉川という画学の教師と共に連れて行かれそうになります。彼を誘うなら自分は要らないだろう、赤シャツは釣りの上手さを自慢したいだけだろうと思いますが、ここで行かないと言えば、下手だから嫌がって来ないのだろうと相手が邪推する事を考え、行きましょうと答えました。それから学校が終わってから下宿に帰り、身支度して二人を待ち合わせ、浜に出たのです。そして、釣り竿の要らない沖釣の為に、三人は船頭の動かす船に乗り、石と松ばかりの島に近付きます、赤シャツと野だこと吉川は島に生える松を見て、ターナーの画の様だと言います。
 坊ちゃんはターナーを知りませんでしたが、恐らく、二人が言っているのはイギリスの画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの描いた「金枝」の事でしょう。ただ、坊ちゃんにとっては聞かないでも困らない事だろうと思い、それでも良い心持ちになる景色だという事は分かりました。

Posted in 文学 | Leave a comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください