夏目漱石「坊っちゃん」について35

 赤シャツに誘われ、釣りに行くことになった坊ちゃんは、沖釣の為に舟で海に出ます。そこには、美しい景色の島があり、その島を右にぐるりと廻った所で、機嫌がよくなった坊ちゃんは島に上がりたいと思います。船頭に聞けば、つけられない事はないが、赤シャツが釣りをするには良い岸がある、そこでないと言います。坊ちゃんが黙っていると、野だが教頭に今見た島をターナー島と名付けようと持ち掛け、赤シャツも同意して、我々は今度から呼ぼうと勝手に決めてしまいます。
 人数に数えられた坊ちゃんは迷惑だ、と心中で呟けば、二人は更に盛り上がり、岩の上にラフハエルのマドンナを置けば更に絵になると野だが言えば、赤シャツはマドンナの話は良そうとホホホホと君の悪い笑い方をします。自分を蚊帳の外に置いて盛り上がり二人に、坊ちゃんはマドンナだろうが小旦那だろうが関係なく、勝手に立たせて絵でも描けば良いだろうと思います。この時、坊ちゃんは自分が「マドンナ」と関わる事を起こすとは微塵も考えていなかったのです。

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