夏目漱石「坊っちゃん」について39

 沖釣に来たものの、一匹で止めてしまい、清の事を考えていた坊ちゃんは自分が教頭だったら、自分が赤シャツだったら、と想像します。ですが、自分に心にもない御世辞を言う赤シャツには冷たい態度をとるし、勝手に江戸っ子とは軽薄だと言われるに違いない。そう思っていると、二人はくすくすと笑いだし、バッタが、と途切れ途切れに話していたのです。バッタと聞いて、先日の事を思い出し、思わず睨んでしまいます。
 野だは、理由は分かりませんが、わざと「バッタ」という言葉を強調して、坊ちゃんまで聞こえる様に話していたのです。他にも天ぷらに団子、それは生徒にからかわれた話の種であり、本人の目の前に内緒話で盛り上がっていたのです。面と向かって言わない事に腹を立て、その件は自分で片づけるが、例の堀田が扇動してという部分が気になります。堀田が自分を扇動して騒ぎを大きくしているのか、それとも生徒を扇動して自分に嫌がらせをしているのか、それは今の坊ちゃんには分からない事でした。

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