夏目漱石「坊っちゃん」について40

 自分を釣りに誘った筈の二人が、自分に関して何やらくすくすと笑い、堀田が如何したと言いますが、坊ちゃんには分からない事です。なので、青空を見続けます、すると日の光がだんだんと弱っていき、少しひんやりすす風が吹き出します。線香の煙の様な雲が、透き通る底の上を静かに押していったと思えば、いつしか底の奥に流れ込んで、うすくもやを掛けた様でした。そこで赤シャツが帰ろうか、と思い出したように言い、野だは丁度いい時間だから「マドンナの君」と会うのかと聞きます。
 赤シャツはバカな事を言うな、と言いますが、野だは聞かれても大丈夫だと振り返った時、坊ちゃんが野だの頭の上に皿の様な目浴びせました。それを見て、野だは降参だと首を竦めます、あまりに簡単だったのに坊ちゃんが呆れます。そうして帰りの船の上で赤シャツに釣りが好きでないんですね、と聞かれ、寝ていて空を見る方が良いと答えます。そんな坊ちゃんに赤シャツは君が来たから生徒も喜んでいる、奮発してくれ、と釣りに全く関係ない事を言い出します。

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