夏目漱石「坊っちゃん」について41

 釣りを終えて帰る船で、赤シャツは急に坊ちゃんを歓迎しており、生徒達も喜んでいる、という様な事を言い出しました。坊ちゃんが喜んでいないでしょう、と返しても、お世辞じゃない、喜んでいるんです、と野だに同意を求めます。当然、野だは赤シャツに賛同して、大騒ぎだとにやにや笑います。いう事が全て妙に気にくわない野だに言われても、坊ちゃんは少しも嬉しくありません。更に赤シャツは、注意しないと険呑、空気が悪くなると言います、坊ちゃんは「どうせ険呑です。こうなりゃ険呑は覚悟です」と返します。
 実際、坊ちゃんは学校を辞めさせられるか、生徒達を全員、謝らせるかの二つに一つだと思っていたのです。それでも、赤シャツは自分も教頭も坊ちゃんを為を思って言っているのだから、悪い意味で取られると困る、と言います。それに野だが乗っかり、自分も坊ちゃんと同じ江戸っ子だから尽力しているんだと言いますが、当然、坊ちゃんは全く嬉しくありません。そんな坊ちゃんに赤シャツは生徒が歓迎しているのには、いろいろな事情があると言います。

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