夏目漱石「坊っちゃん」について47

 赤シャツの話を聞いて、坊ちゃんは山嵐が生徒を扇動して自分を追い出そうとした場合の事を考えました。性格的に有り得ないと思いつつ、そうなら自分と面と向かってケンカすればいいだろう、相手の言い分に納得できれば出ていく気がある。そう思った坊ちゃんは、一番最初に自分に氷水を奢ってくれた山嵐に対して、もし裏表がある奴に奢ってもらっては、例え少ない金額でも、自分を追い出そうとした相手の世話になった事になる。それはは、死ぬまで気分が良くないし、自分の顔に関わるので明日、学校へ行ったら代金を返そうと勝手に決めます。坊ちゃんの手元には清から5年も借りたままの金銭があります。返せないのではなく、返さないのです。
 清は今に返すだろうと、仮にも坊ちゃんの懐中をあてにしていないのです、だから坊ちゃんも今に返そうと他人がましい義理立てはしないつもりです。自分がそんな心配をすればするほどに清の心を疑う様なもので、美しい清の心にケチをつけるのと同じ事になる。最初は疎んじていた様に書かれる清ですが、ここで坊ちゃんは「返さないのは清を踏みつけるのじゃない、清をおれの片破れと思うからだ」と言ってはいませんが、ハッキリ思っています。

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