夏目漱石「坊っちゃん」について50

 山嵐に氷水の代金を返そうと思い、せっかく早く学校に来たのに、肝心の山嵐が来ず、赤シャツは昨日の事を広めてくれるなと教頭とは思えぬ事を言うのです。ただ、坊ちゃんは山嵐に氷水の代金を返す際に話すつもりなのでした、すると赤シャツはそれは困ると大いに狼狽えました。
赤シャツ曰く、自分は堀田君、山嵐の事について坊ちゃんにハッキリ言った覚えはないん、だから坊ちゃんが山嵐と揉めると自分が非常に迷惑する。更に君は学校に騒動を起こすつもりで来たのではないだろう、と坊ちゃんとしてはおかしな質問をされたと思い、当然、教師として給与をもらったり、騒動を起こしては学校の方が困るでしょうと言います。
 赤シャツは、それなら昨日の事は君の参考だけにとどめて、誰にも言ってくれるなと頼んでくるので、よろしい、自分も困るが、そんなにあなたが迷惑ならよしましょうと受け合いました。本当に大丈夫かと念の押す赤シャツを見て、皆が赤シャツの様なら、文学士とはつまらない連中だと坊ちゃんは呆れました。

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