夏目漱石「坊っちゃん」について51

 山嵐に話してくれるな、という辻褄の合わない、論理に欠けた注文を自分にしている上に自分を疑っている赤シャツに呆れます。自分も男だ、ちゃんと約束した事を破るような事をするものか、そう思っている所で両隣の机の所有者が来たので、赤シャツは早々に自分の席へ戻っていきました。部屋の中を行き来するのでも、音を立てない様に靴の底をそっと落とす歩き方まで気取っている。作中では泥棒の稽古じゃあるまいし、音を立てずに歩くのが自慢になるもんだと、この時から始めて知った、という内容がありますが、これは嫌味でしょう。
 当たり前にすればいいものを、と思っていると、始業のラッパが鳴ってしまいます。遂に山嵐は出て来ないので、仕方なく机の上へ氷水代を置いて教壇に立ちました。そして、授業の都合で少し遅れて控所へ帰ると、他の教師は机に控えて話しており、いつ来たのか山嵐も居たのです。何か事情があって欠勤したのではなく遅刻したのです、そして坊ちゃんの顔を見るや君の御蔭で遅刻したんだ、というのです。

Posted in 文学 | Leave a comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください