夏目漱石「坊っちゃん」について53

 山嵐に氷水の代金を返せた坊ちゃんですが、今度は山嵐が紹介した筈の下宿から直ぐに出てほしいと言われます。理由を聞けば、下宿先の人が坊ちゃんの横柄な態度に困っている、と言うのです。山嵐の物言いに、坊ちゃんは知った様な事を言って、なぜ自分を置いたと聞けば、山嵐は「自分は知らない、知らないが嫌になったんだから出てほしいと言っている、だから君が出てやれ」と言う内容を口にするので、売り言葉に買い言葉で坊ちゃんはこっちから出て行ってやる、そんな言い掛かりを言う様な所を紹介した山嵐も山嵐だ、と返します。その言葉に、山嵐も負けじと大人しくしない君が悪い、という風に言い返します。
 この2人、大人しく言い合う性格ではないので、この口喧嘩は大声になり、控所に居た人々は何があったのかと坊ちゃんと山嵐に視線を向けます。それに対し、坊ちゃんは自分は何も悪くない、恥ずかしくないのだから、と立ち上がって部屋の中を一通り見返してやります。皆が驚くなか、野だだけは面白そうに笑っているのです。

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