夏目漱石「坊っちゃん」について54

 山嵐と対面して、いきなり下宿先を出ろと言われた坊ちゃんは、代金を返しても下がらずに2人で大声でケンカを始めてしまいます。場所は教師たちが控えている場所なので、当然、周りの目は二人に集中します。それにも負けじと坊ちゃんが見返せば、野だだけは面白そうにしているので、野だもケンカするつもりかと聞けば真面目な顔をして引き下がりました。恐らく、坊ちゃんの気迫が怖かったのでしょう、すると授業の合図を告げるラッパの音がして、山嵐と坊ちゃんはケンカを中断して教室に向かいました。午後から坊ちゃんを待っていたのは、件の寄宿生達に関する処分を決定する会議でした。初めて会議に出席した坊ちゃんは、細かい事は分からないが、職員が集まって、口々に自分の意見を出し合って、それを校長がいい加減に纏めるのだろうと考えていました。
 纏めるとは白黒を決する際に使うべき言葉で、こんな風に教師側で勝手に決めてしまうなら、校長が即座に処分を決めてしまえばいいのに、随分と決断力のない事だ、と相変わらず辛辣な事を思います。

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