夏目漱石「坊っちゃん」について55

 負けず嫌いの山嵐と坊ちゃんが口喧嘩を始めましたが、授業で中断、放課後は教師陣が集まって坊ちゃんが宿直した際にイタズラした生徒についての会議が行われました。相変わらずの口の悪さ、正しくは、口に出していないので荒っぽい考えで教師が好き勝手に意見を出し合って、それを校長がいい加減に決めるのだと思い込み、校長に腹を立てます。初めて出席する会議に対して、ここまで思えるのも逆に面白味を感じます。会議室は校長室の隣にある細長い部屋で、いつものは食堂の代わりにしているそうで、黒い革張りの椅子が20脚ほどあり、それが長いテーブルの周囲に並んでいて、神田の西洋料理屋くらいの格だ、作中で書かれています。
 この「神田の西洋料理屋」とは、恐らく、作者の夏目漱石が友人だった俳人の正岡子規と交わした書簡に登場する「外神田」の「神田川本店」の事でしょう。そんな洒落た西洋料理屋の様な会議室のテーブルの端に校長が座って、隣に赤シャツが座り、後は各々勝手に席についていきます。人生初の会議で勝手の分からない坊ちゃんは、とりあえず博物の教師と漢字の教師の間に入り込みました。

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