夏目漱石「坊っちゃん」について56

 西洋料理屋の様な会議室にて、初めて会議に参加する事になった坊ちゃんは、とりあえず腰を下ろした坊ちゃんの向こう側に山嵐と野だが並びます。その顔を見て、ケンカはしていても山嵐の方が趣がある、と思います。ただ、それでは負けた気がするので、山嵐を睨んでやります。坊ちゃんは自分を格好良くないと思っていますが、よくしてくれた清曰く眼が大きいから役者になれば似合うそうです。そんな事をしている内に、大体が揃っただろうと校長が言えば、書記の川村という人物が数えて、一人足りないと言います。すかさず、古賀、坊ちゃんが内心で「唐茄子のうらなり君」と名付けた英語教師が居ない事に気付きます。
 この「うらなり君」は、どういう訳か坊ちゃんの目につく人物で、性格はお人好しで消極的、そして「マドンナ」と「赤シャツ」と関係があり、山嵐と同じく坊ちゃんの理解者の一人になってくれます。この段階では、めったに笑わず、余計な口をきいた事はないものの「君子」という言葉はうらなり君の様な人物を指すのかと感心する位には親近感を持っていました。

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