夏目漱石「坊っちゃん」について58

 坊ちゃんが気にしていた「うらなり君」が来ると、ようやく会議が始まります、配布された資料に目を通すと最初に生徒の処分について、次に生徒の取締について、その他二、三ヶ条が記載されていました。校長は仰々しく、坊ちゃん曰く「教育の生霊」という感じで、学校の職員や生徒に過失があるのは全て自分の不徳の致すところで、何か事件がある度に、よく自分が校長を務めていられると密かに慚愧(ざんぎ)の念が堪えず、不幸にもまた騒動が引き起こしたのは、諸君に向かって謝罪せねばならん。しかし、起こってしまった以上は仕方がない、どうにか処分をしなければならない、事実は既に諸君の知っている通りで、これに対して善後策について参考の為に素直な意見を述べてほしい、という事を言いました。
 これを聞いて、坊ちゃんは校長とはえらい事を言うと感心するものの、そう思うなら自分が全ての責任を取って辞めればいいのに、そうすれば面倒な会議など開く必要さえなくなる、とも思います。ただ、誰が悪いかと言えば、坊ちゃんは生徒だけだと思っています。

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