夏目漱石「坊っちゃん」について59

 会議に参加して、校長の言い分を聞いて、最終的に誰が悪いかと考えた坊ちゃんは宿直の自分に乱暴した生徒だと思いました。もし山嵐が扇動したなら、生徒と山嵐を退治すれば終わりだろうに、人のやった事まで背負って自分の事だという芸当は校長、坊ちゃん曰く「狸」じゃなくちゃ出来ないだろう、と褒めているのかいないのか分からない感想を持ちます。そして、校長は教師陣に何か意見はあるかと見まわしますが、坊ちゃんが間に割り込んだ博物教師と漢字の先生は屋根にいる鳥を眺めたり、配られた資料を畳んだり延ばしたり、向かいの山嵐は坊ちゃんを今も睨んでいます。人生初の会議でしたが、こんな馬鹿げたものなら、昼寝でもしていた方がマシだと思った坊ちゃんは、じれったくなって自分が一番に意見を述べようと立ち上がりかけましたが、赤シャツが何か言い始めたのでやめました。
 見れば、磨いていたパイプをしまい、縞模様の絹のハンカチで顔を拭いて、何か言っていました。山嵐を勝手に疑ったように、坊ちゃんは男は白い麻のハンカチを使うから、そのハンカチは「マドンナ」のハンカチを自分の物にしたに違いない、と思います。

Posted in 文学 | Leave a comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください