織田作之助「夫婦善哉(めおとぜんざい)」について4

 柳吉に駆け落ちしようと言われ、蝶子は迷うことなく汽車に乗り、東京へ行きました。ですが、金を集めて熱海に着くなり、2人に温度差が生じます。今後の事を真剣に考えようという蝶子に対して、謝れば直ぐに勘当を撤回してもらえると思っている柳吉は地元の芸者を呼ぼうと呑気な事を言い出します。それから2日後、東京の地面が揺れて、互いに身を寄せ合った時に初めて「大変な駆け落ちをしてしまった」と同時に思ったのです。そして、避難列車に乗って大阪の梅田に戻って来た蝶子と柳吉は、とりあえず、蝶子の実家に顔を出します。蝶子の父は急にいなくなった事を心配して、無事だったと泣いて喜び、母も泣いた後に柳吉に挨拶をしました。
 蝶子は両親に柳吉を紹介して、自分の都合で勝手に出て行ったのだから、柳吉と一緒に苦労する、芸者の世話をしてくれた所には戻れないと腹を決めます。父は好きにすればいいと背中を押し、母は如何に蝶子を大事に、健康に育てたか涙ながらに語り、それを聞いた柳吉は耳が痛い気持ちになります。

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