織田作之助「夫婦善哉(めおとぜんざい)」について6

 柳吉が実家に顔を出して怒られ、しかも娘にまで会えないと落ち込みますが、蝶子は逆に自分が柳吉を立派にして見返してやろうと決意します。それから年が明けて、三が日も終わりを迎えますが、実家から本当に縁を切られた事を自覚した柳吉は落ち込んだままです。いくら蝶子と所帯を持ったと言っても、それで子供を引き取る事も出来ず、そして心の中では何時か帰れるという気持ちもありました。ですが、子供に会えない寂しさもあり、柳吉は蝶子が必死に貯めた金を使い、昔の遊び友達に誘われるままに遊んでしまいます。これには蝶子も怒りますが、出先で柳吉が褒めていた「自由軒のライスカレー」を食べると、彼への恋しさが勝ってしまいます。
 そうして日々は過ぎていき、二年経って、ようやく始めた剃刀屋は客が来ないで赤字ばかりで閉める事になり、次の商売を始める為に蝶子が必死に貯金をするも柳吉が使ってケンカになったり、柳吉の実家から金を貰う為に別れる芝居をしようとするも失敗したり、それでも何とか金を工面して、今度は「蝶柳」という関東煮屋を始めます。

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