夏目漱石「夢十夜」について2

 夏目漱石の短編「夢十夜」、本日の「第二夜」も「こんな夢を見た」から始まります、登場人物は自分に二つの選択を課した侍です。夢は、侍が和尚の部屋から自分の部屋に帰る所から始まります。部屋に戻った侍は、座布団に腰を下ろして、和尚に言われた事を思い出します。侍なら悟れぬ筈がない、悟れないなら侍ではない、人間の屑じゃ。悔しければ悟った証拠を持ってこい、と言い、和尚は向こうをむきます。そこで、侍は隣の床の間の床に置き時計が次の時間を知らせるまでに悟って見せる、悟った上で和尚の所に行って、悟りの引き換えに命の和尚を奪う。出来なければ、侍としての恥である、だから自分で自分の命を奪う。
 そこまで考え、侍は無について只管に考えます。無とは何か、どうしたら悟れるのか、自分を笑った和尚の声を思い出し、侍は絶対に悟ってやると痛みすら感じる程に考えます。その時、ふと周りが全て有って無い様な感覚に襲われます、侍が変になったと思った時、鐘の音が聞こえたのです。はっとした侍は右手に自前の短刀を持ちますが、それを誰に振るったかはハッキリしないまま終わっています。

Posted in 文学 | Leave a comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください