全十話で構成された夏目漱石の短編「夢十夜」、本日は第四夜、この話から冒頭が少し変わってきます。場所は広い土間、登場人物は老人と神さん、この場合は老人の奥さんでしょう。それから、老人を見ている自分、老人は土間に涼むための台の様な物を置いて、片隅には四角い膳を置いて酒を飲んでいます。酒の肴には煮しめ、随分と飲んだのか老人は赤くなっています。しかし、顔にはシワはなく、白い髭があるので老人だろうと分かる程度、自分は子供で、彼が幾つなのか考えていると神さんが現れ、彼に幾つか尋ねます。老人は煮しめを食べながら、忘れた、と言い、家を聞いても、ヘソの奥、と言い、どこへ行くのかと聞いても、あっちと明確な答えを返しません。
そして、やっと腰を上げたかと思えば、柳の下で集まっている子供達に、手拭いを蛇に変えると言い出すのです。自分も一緒になって待ちますが、蛇に変わる様子はなく、ただ老人は「今になる、蛇になる、きっとなる、笛が鳴る」と言いながら川に入っていきました。自分は老人が向こう岸に渡ったら、手拭いが蛇になり、それを見せてくれるだろうと一人待ち続けます。しかし、老人は川から上がってくる事はありませんでした。
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