夏目漱石「夢十夜」について7

 本日の夢の舞台は「大きな船」です、自分は行き先も知らず、黒い煙を吐く船に乗っています。理由も分からずに船に乗っているのが不安になり、自分は水夫に行先を尋ねます、落ちていく日を追いかけるから西へ行くのか、けれど水夫はリズムよく西へ行くのか東へ行くのかと、歌いだします。舳先に行って、別の水夫を見ると太い帆綱を手繰っていました。理由も分からず、行先も分からない船の上で、自分は心細くなります。いつ陸に行くのか分からず、一緒に乗っている人は海外の人の様で、そんな中で手摺りによりかかる一人の女を目にします。ハンカチで目を拭いている女を見て、不安なのは自分だけでない、と自分は安堵します。
 ですが、あるとき、船の中にあるサロンに入ると女がピアノを弾いている姿を目にします。派手な衣装を着た若い女がピアノを弾いて、その傍らには背の高い男が立って、歌っていました。2人の世界を作っていました、自分は元からつまらなく思っていたのが更につまらないと感じ、海へ飛び込んでしまいます。そこで後悔しますが既に遅く、無限の後悔と恐怖を抱いて黒い波へ落ちていくのです。

Posted in 文学 | Leave a comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください