夏目漱石「夢十夜」について10

 本日で最後となる「夢十夜」、物語は「自分」が健さんという人物から庄太郎が女に攫われ、七日目に帰って来て、急に熱が出たという話を聞く所から始まります。この庄太郎は、夕方になるとパナマ帽をかぶって水菓子、今でいう果物屋の店先で行き交う女性の顔を見るのが趣味だが、それ以外は町内で一番の好男子で正直者だそうで。ある日、彼がいつもの様に店先に居ると一人の女がやってきます、一目で高い身分だと分かる服装をして、着物の色と顔立ちに一目で感心して、挨拶すると女が買った果物の詰まった籠を家まで持つと言ったのです。それから七日経つまで庄太郎は帰って来なかったのです、
 その間に大勢の人が探しに出て、ようやく戻って来た庄太郎に何があったか聞けば、女に崖まで連れて行かれ、飛び込む様に言われた。飛び込まないと大嫌いな豚に舐められると言われたが、命が惜しいから断ると、何万という豚に襲われた、というのです。そこまで話して、健さんは庄太郎の自業自得の様な事を言い、自分も同意します。そう言いながら、健さんは庄太郎のパナマ帽を貰いたいと言い、自分は遠からず帽子は健さんのモノになると思って終わるのです。

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