宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」について5

 三毛猫に八つ当たりして、見事に追い出してやったゴーシュは、少し愉快に気持ちになり、その晩はぐっすり眠りました。そして、次の晩もゴーシュはセロの包みを担いで帰ってきました、そして水を飲むと昨日と同じくセロを弾き始めます。それから真夜中になってもゴーシュは練習と続けました、もう自分でも何時か分からなくなった頃に、屋根裏を叩く音がしました。ゴーシュは三毛猫が来たと思い、叫びました、すると天井の穴から音がして、灰色の鳥が降りてきました。床にとまった鳥は、カッコウでした、ゴーシュは何の用だと聞けば、カッコウは音楽を教わりたいと、すまして言いました。
 ゴーシュはカッコウの歌は名前の通りに鳴くだけだと言いますが、それが難しいとカッコウは言います。ゴーシュは難しくないと言いますが、やはりカッコウは鳴き方にも違いがあると言います。それがひどいと言いますが、ゴーシュは違わないと言い切ります、ならばゴーシュには分からないのだと、仲間ならみんな違う事が分かるとカッコウは言います。

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