宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」について13

 ゴーシュは自分のセロの演奏がマッサージ代わりになって、動物たちを癒していると知り、野ネズミの子も同じ要領で元気にしてあげました。野ネズミの母親は何度もお礼を言うので、最初の動物たちのように無下に扱う気になれず、パンを分けてやりました。感動のあまり泣いたり、笑ったりしながら野ネズミは帰っていきました。疲れたゴーシュは寝床に倒れ込むと、すぐに眠ってしまいました、それから6日目の晩、ゴーシュが所属している楽団は公会堂のホールで演奏を披露したのです。皆で演奏していた楽曲が上手くいき、ホールは拍手の音で溢れかえっていました、団員は嬉しさを隠さず、楽長も拍手なんて気にしていないようで嬉しさでいっぱいでした。
 そこに司会者が来て、アンコールをしているので、何か一曲してほしいと頼んできます。すると、楽長はゴーシュに何か弾く様に言ったのです、楽長だけでなく団員もセロを持たせて舞台にゴーシュを押し出したのです。ゴーシュはバカにされたと思い、猫を慌てさせた「インドの虎狩り」を思い切り演奏しました。

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