宮沢賢治「注文の多い料理店」について4

 山中で道に迷った2人の紳士、そこに急に現れた立派な西洋づくりの「西洋料理店 山猫軒」、この時点で怪しいのですが、空腹の2人は丁度いいと店に足を踏み入れます。そして、2つ目の店の扉には金文字で「ことに肥ったお方や若いお方は、大歓迎いたします」と書かれており、これを読んで大喜びしたのです、なぜなら2人とも「肥って(ふとって)」おり、しかも「若い」です。両方とも兼ねているなんて自分達にピッタリの店だと、廊下を進んでいくと、今度は水色のペンキで塗られた扉がありました。片方は扉ばかりの店を不思議に思いますが、もう片方はロシア式で、寒い所や山の中はこんな作りだと言います。そして、水色の扉を開けようとすると、上に黄色い文字があり、こう書かれていました。
 「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」
 さらに、扉を開けた裏には
 「注文はずいぶん多いでしょうがどうか一々こらえて下さい。」
と、書かれているのです。1人の紳士はどういう意味だと顔を顰めますが、もう1人は客が多いから注文しても料理が来るのが遅くなります、という意味だろうといいます。

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