宮沢賢治「銀河鉄道の夜」について2

 先生が天体の川について生徒に問いかけた時、カンパネルラは手を挙げました、他にも四、五人、そして物語の主人公ジョバンニも手を挙げようとしましたが、やめてしまいます。何かの雑誌で、その川が星の集まりだという事を読んだのです、けれど最近のジョバンニは毎日の教室でも眠くて、それに本を読むヒマも、そもそも読む本すら持っていませんでした。だから、何がどんな事かも分からない気持ちになったのです。ですが、手を挙げようしたのを先生は見逃さず、ジョバンニの名を呼びました。先生に声を掛けられたジョバンニは勢いよく席を立ちますが、はっきり答える事が出来ず、前の席に座っているザネリという同級生は、ふりかえって笑っていました。
 それで赤くなり、ますます答えられなくなったジョバンニは二度目に質問されても答えられず、それを見て先生はカンパネルラを指名しました。すると、一番最初に手を挙げた筈なのに、カンパネルラももじもじ立ち上がり、答えませんでした。意外だとカンパネルラをじっと見ていた先生ですが、それでは授業が進まないので、急いで自分で星図を指さしたのです。

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